
企業側から見た建設的なエンゲージメントとは
本レポートでは、学術文献からの知見、企業への調査、企業の経営幹部への詳細なインタビュー結果に基づき、エンゲージメントが企業の行動、戦略、方針に意味のある変化をもたらす可能性を高めるために、株主が取り得るアプローチや行動を、企業側の目線から提言しています。
背景
エンゲージメントはお客さまや受益者のために運用する資産に対して、確固たる責任感を持って受託者責任を果たしたいと考える投資家にとって、重要な手段です。しかし、その方法が不適切なものであれば、企業および投資家にとってフラストレーションの源ともなります。
MUFGファースト・センティア サステナブル投資研究所とPwCによる本レポートは、エンゲージメントに関する学術研究の知見と、企業実務者の経験に基づく洞察を組み合わせることで、「建設的で効果的な企業エンゲージメントとは何か?」という問いに答えることを目的としています。
「当調査・研究により、投資家が企業とのエンゲージメントの成果を向上させるために、実践的に適用できる、確かな根拠を持つ結論を導くことが出来ました。企業とのエンゲージメントを活用し、全ての関係者にとって良い結果をもたらすことを目指す投資家にとって、本レポートは必読と言えます。」
Tom Gosling博士 | エグゼクティブ・フェロー | ロンドンビジネススクール
投資家のエンゲージメントと企業の株価、財務状況、環境・社会的な影響との関連性については様々な研究が存在しますが、企業が行動を起こすきっかけとなるエンゲージメントの具体的な特徴を明らかにする研究はほとんど行われていません。
エグゼクティブサマリー
- エンゲージメントの成功に関して、普遍的に認められている定義は存在しませんが、本レポートでは「企業行動、戦略、方針に意味のある変化をもたらすエンゲージメント」と定義しました。
- 企業への調査結果によると、96%の企業が投資家とのエンゲージメントを肯定的に捉えています。企業は、実質的な行動を必要とするような要求であっても、場合によって進んで行動しています。
- エンゲージメントに対応して企業が行動を起こす可能性を高める5つの主要な要素:
- 個々の会社に即して練られたエンゲージメントは、会社が行動を起こす際の最も重要な背景になりうる
- エンゲージメントがどの程度うまく実施されたかも、企業に行動を促す重要な要素である
- 多数の株主・投資家間の意見が一致しているほど、企業は行動を起こすようになる
- エンゲージメントリーダーの知識が高まるほど、企業は行動する可能性が高くなる
- 行動を起こさないことに伴う高いコストが、企業の行動を促す可能性がある
- 本レポートは、上記のようなエンゲージメントが成功する可能性を最大化するための主要な要素、また、成功を損なう可能性がある典型的な特徴を明らかにしています。その上で、エンゲージメントが企業の行動につながるように、株主が取り得るアプローチや行動を提言しています。