
PFAS(有機フッ素化合物):永遠の化学物質 投資家向けブリーフィング
背景
ペルフルオロアルキル化合物・ポリフルオロアルキル化合物(PFAS)とは、化学的な不活性、耐熱性、撥水性、撥油性、防汚性などの性質を特徴とする化学物質群(有機フッ素化合物)の総称であり、その性質からさまざまな消費財や産業用途で使用されています。PFASを使用する産業セクターとしては、航空宇宙・防衛、自動車、航空、繊維、建設、家庭用品、エレクトロニクス、食品加工、食品包装、医療機器などがあげられます。しかし、PFASを非常に有用なものにしている特性は、健康や環境への悪影響に対する世界的な懸念にもつながっています。
PFASは他の人工化学物質よりも長く環境に滞留する特性を持ち、汚染された飲料水や食品を通じたPFASの摂取は、環境ホルモン等の内分泌かく乱作用や血中コレストロール値の上昇、特定のがんのリスク上昇、甲状腺異常、出生体重の低下、ワクチン反応の低下、心疾患性などの健康への影響との関連があると指摘されています。
本レポートの主なポイント
- 消費財や産業用途で使用されているPFAS の健康および環境への悪影響は、世界的な懸念事項となっています。
- PFASへの規制は強化されてきており、さまざまな国や地域が段階的廃止や禁止を検討しています。本レポートでは、EU、ニュージーランド、北米における規制措置について説明しています。
- 訴訟リスクも高まっており、米国、スウェーデン、オランダでは注目すべき事例が見られています。
- PFAS製造者と製品製造セクターは、規制や訴訟のリスクにさらされています。一方で、廃棄物処理、水処理、環境検査サービスの提供会社には新たな機会がもたらされています。これらのリスクと機会について、本レポートで詳しく考察しています。