現代奴隷と救済措置 – 投資家向けガイド

背景

現代奴隷は、世界中の国や地域、企業、そしてサプライチェーンに広く影響を及ぼしており、現在約5,000万人がその状態にあると推定されています。企業や投資家は、自社の事業活動やサプライチェーンを通じて現代奴隷や強制労働に関与するリスクを抱えている可能性があるため、こうしたリスクの評価と対応が求められています。また、事業や投資において現代奴隷が確認された場合には、救済措置の提供またはその実現を支援することが期待されています。さらに、投資家は資本の管理者としての役割を活かし、人権侵害に対する是正や解決に向けたベストプラクティスの推進を促すことができます。

救済とは

救済とは、事業活動の結果として生じた人権への影響に対して、補償または解決策を提供することです。謝罪、将来的な侵害の防止、金銭または金銭以外の補償、健康サービスへのアクセス、影響を受けた個人の帰国支援、そのほかの両当事者が合意した救済方法など、救済にはさまざまな形があります。労働者など影響を受けたステークホルダーの意見を踏まえた措置を取るべきです。また、救済措置の最終的な目的は償うことであるため、常に救済が十分かつ適切であるよう注意を払わなくてはいけません。将来的な侵害の防止および軽減も、救済の重要部分です。対応策として、デューデリジェンスの実施を通じた労働者をリスクにさらす可能性のある事業慣行の検出、そうしたリスクを軽減する追加の保護措置の導入などが実施される場合があります。

本レポートでは、投資家が救済措置の実現に果たす役割を分析し、実際の救済事例を示すケーススタディを紹介します。

現代奴隷を発見する前後、およびその対応中に、投資家が検討できる救済措置の概要

本レポートの主なポイント

投資家が救済措置の提供または実現を検討する際の推奨事項には、以下が含まれます：

  • 企業に課されている救済措置の提供または実現に関する既存の義務を理解すること（国際的な枠組みや、人権デューデリジェンス法を含む各国の法令を含む）。
  • 企業の行動に影響を与えるためのレバレッジを最大化し、救済措置の効果的な実施を促進すること。
  • 救済プロセスのさまざまな段階で企業とのエンゲージメントに備えること。
  • 救済エコシステムを強化するために、幅広いステークホルダーとの協力を検討し、共同救済スキームなど、救済の提供または実現を目的とした革新的な取り組みに参加すること。

* Walk Free: Modern Slavery response remedy framework